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カスタム電源開発・設計 豆知識

2022.12.25

スイッチング方式の選定方法

スイッチング方式の選定は、電源自体が何を重要視して開発・製造するのかによって、最適な回路方式を選定し使い分ける必要があります。そこでこのコラムでは、スイッチング方式はどのようなプロセスで選定していけばよいのかをご説明したいと思います。

 

1.スイッチング方式の選定

まず、スイッチング方式を選定する上で重要となってくる項目は下記になります。どういった事に着目すべきか、簡単な解説と共に列挙いたします。

(1)価格

言わずもがな価格はとても重要な要素ですので、価格に見合った回路構成が必要となります。

(2)効率

要求される効率を達成するように設計することに加え、電源への入力仕様とスイッチング電源からの発熱による周囲への影響性を考慮してスイッチング方式を選定します。

(3)力率

顧客の入力電流ピーク値を満足出来るかで仕様が決定します。

(4)パッケージ

パッケージを決定する際には、内部の開口面積が確保出来るか、パワー半導体を放熱器で冷却可能な面積が確保出来るかを考慮する必要があります。

(5)使用環境

電源によっては過酷な使用環境での安定稼働が要求される事もあり、スイッチング電源としてはそのような環境でも部品定格及び使用低減率を考慮し選定する必要があります。

このように、スイッチング回路方式は上記の(1)~(5)の条件を満足させる回路構成が必要です。

以降では、実例を挙げながらスイッチング回路方式の選定プロセスについて解説して参ります。

<電源要求仕様>

① 入力電圧仕様:AC85V~AC132V、AC170V~AC264V

② 出力仕様:5V,10A

③ 出力容量:50W

④ 効率:70%

⑤ 力率改善:有

⑥ 使用温度:-20℃~60℃

⑦ パッケージ:130mm(縦)×66mm(横)×140mm(奥行)

⑧ 冷却:自然空冷

<選定のポイント>

①出力容量に対して選定スイッチング回路が対応していること。

②効率に対して選定スイッチング回路が対応していること。

 

要求仕様から、採用可能なスイッチング回路を(1)~(6)に示します。今回の要求仕様に対する評価を行うため、スイッチング回路の選定条件の出力容量、効率及び入力電圧に合わせて、4段階の評価[1~4]を行い、点数の合計から総合判断を行います。

 

(1)シングルフォワード方式

 

 

 

 

(2)シングルフライバック(RCC)方式

(3)プッシュプル方式

(4)ハーフブリッジ方式

(5)フルブリッジ方式

(6)アクティブクランプフォワード方式

 

スイッチング回路の選定結果として、選定の点数をまとめます。本電源仕様を実現する上で効率が最課題となるため、点数を倍として比較すると、下記のようになります。

 

 

 

 

 

以上により、点数の高い アクティブクランプフォワード方式 が適していると考えられます。

 

ところで、スイッチング方式は最適なものを選定できましたが、ここでは方式以外にも、ケース素材および排熱についても検討を行っておきます。

 

2.ケース素材の選定

まずは、新規に使用する新規の使用するケースの素材を検討します。

パワー半導体の定格温度以下にする為には、部品定格温度150℃×低減率0.7=105℃以内に

収める必要があります。周囲環境温度のMAX値が60℃であることから、

低減温度105℃-周囲環境温度60℃=自己発熱温度を45℃以内にする必要があります。

 

使用効率を70%とした時、30%は損失しますので、

(出力容量50W ÷ 効率70%) - 出力容量50W = 内部損失21.4W

自己発熱45℃/内部損失21.4W=熱抵抗2.1℃/W

 

マージンを考慮して温度上昇を30℃とすると、

温度上昇30℃/内部損失21.4W=熱抵抗1.4℃/W となるため、

下図より1.4℃/Wを満足する2mm厚のアルミ板の面積は、1,000cm²となります。

 

さらにスイッチング電源のパッケージが幅6cm×高さ17cm×奥行23cmですので、

ケースの面積は((6cm×23cm)+(6cm×17cm)+(23cm×17cm))×2=1,262cm² > 1,000cm²

となり、アルミケースの素材で仕様を満足することが可能と判断できます。

 

3.開口面積の検討

次に吸気・排気の対流を考慮して、熱の逃げる開口面積について検討します。

過去の実績値より、出力容量240W÷効率0.85=皮相電力282.4W

皮相電力282.4W – 出力容量240W = 内部損失42.4W

放熱窓面積 6,500mm²

ワット当りの開口面積 6,500mm²÷42.4W=153.3mm²/W

 

今回の開口面積は、幅60mm×奥行230mm=13,800mm²

開口率を50%とした時、

13,800mm²×50%=6,900mm²

6,900mm² ÷ 内部損失21.4W = 322.4mm²/W

 

よって、322.4mm²/W > 153.3mm²/W より開口面積が大きい為、

製品実現可能と判断することができます。

 

このようにスイッチング方式を選定する上では、開発の初期段階で製品外形及び効率仕様を明確にした上で、方針を挙げる必要があります。産業用カスタム電源.comを運営するアイガ電子工業株式会社では、50W~1kWクラスのカスタムのスイッチング電源の開発・設計・製造を得意としております。電源回路設計にお困りの場合はお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

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