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カスタム電源開発・設計 豆知識

2023.05.23

スイッチング電源における効率の最適化

スイッチング電源において効率とは、入力電力に対する出力電力の割合を言い、効率は高い程スイッチング電源内部での発熱が少ないことを指します(パッケージの小型化か可能)。逆に効率が低いと、ヒートシンクの大型化や素子の並列使い等が必要となるため、コストアップに繋がります。

1.損失の種類と損失が発生する箇所

効率とはスイッチング電源内部での損失によって決まり、損失の種類には以下が挙げられます。

・スイッチング素子(ON抵抗による損失,スイッチング損失)

・ダイオード(VFによる損失)

・コイル,トランス(内部抵抗による損失,鉄心のヒステリシス損失)

・コンデンサ(ESRによる損失)

・制御回路(ICによる損失)

上記の回路を見ても分かるように、スイッチング電源においては殆どの回路で損失が発生します。 一つ一つの損失は小さくとも、積み重なると大きな損失となってしまいます。

効率の計算方法は以下の様に算出します。

効率=出力電力÷入力電力

例えば、出力容量が240W(24V/10A)の場合で計算すると、

効率= 240W(24V/10A) ÷ 282W

=85% となります。

回路ブロックとして損失が大きいのはスイッチング部と整流・平滑回路になりますが、ここではスイッチング部の効率UPにフォーカスして解説いたします。

 

2.スイッチング回路の損失を減らし、効率を上げる方法

損失を減らし、効率を良くする為には以下の様な方法が考えられます。

①スイッチング素子にMOSFETを使用する

従来のトランジスタを使用する場合では、VCEの電圧が大きく大電流ではVCE×電流で大きな損失となっていました。

対してMOSFETではON抵抗が極めて小さい(数mΩ~数Ω)ことから、電流2×ON抵抗による損失を非常に小さくすることが出来ます。

②力率改善(アクティブフィルタ)回路を搭載する。

力率を上げることにより、入力皮相電力を上げ、力率効率を改善することが可能です。

③ゼロスイッチング方式を使用する。

MOSFETでは、VDSと電流の重なりが損失になってしまいます。そこでゼロスイッチング方式を使用することで、

重なりを少なくすることが出来、結果として損失を大幅に低減することが出来ます。

④スイッチング周波数を最適化する

 一般に、スイッチングスピードを遅くすることでスイッチング素子のTON/TOFFでの損失が改善されますが、周波数を遅くし過ぎると逆に効率が悪くなってしまいます。スイッチング素子には効率の良いポイントがあり、その周波数を抑えた上で設計すると最も効率が高まります。

 仮に、最も効率の良い周波数が130kHzだった場合、伝導ノイズ規格範囲(150kHz~30MHz)外となり、ノイズ規格にも対応しやすい電源になります。

 

3.スイッチング電源の効率の算出

効率の算出について、以下で計算した実例を紹介します。

上記の様に部分毎に消費電力を計算し、それを合計して効率を求めることが出来ます。なお、基板のパターン等にも損失が発生しますので、各部で計算出来ない場合は概算値を当てて計算をすることが一般的です。

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