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カスタム電源開発・設計 豆知識

2025.02.18

カスタム電源開発・設計の基礎:オーバーシュートを抑制するためのポイント

スイッチング電源は、高い電力変換効率を誇り、小型・軽量化に貢献できる一方、その高速なスイッチング動作に伴い、オーバーシュートが発生しやすいという側面も持ち合わせています。

特に、信頼性が求められる産業用機器向けの電源においては、わずかなオーバーシュートでも致命的な問題を引き起こす可能性があります。そのため、回路設計の初期段階からオーバーシュートを抑制するための対策を検討することが、製品の安定動作、そして信頼性確保のために不可欠です。

当記事では、回路設計者が実践できるスイッチング電源におけるオーバーシュートの抑制方法を、具体的な対策例を交えながらご紹介します。

 

オーバーシュートの主な発生要因

オーバーシュートの発生要因はいくつかございます。

①負荷の変化

回路にかかる負荷が急に変化すると、スイッチング電源は出力電圧を安定させようとします。この過渡的な応答の過程で、オーバーシュートが発生することがあります。

 

② 応答遅延と過補償

出力電圧を安定させるためにフィードバック制御を用いていますが、急激な負荷変動や入力電圧の変化が発生した場合、制御回路が応答しきれず、出力電圧が一時的に目標値を大きく超えてしまうことがあります。

 

③スイッチング素子の特性

スイッチング素子のリカバリー特性が長すぎたり、スイッチング速度が最適化されていないと、オーバーシュートが発生する可能性があります。

 

オーバーシュートの抑制方法

オーバーシュートは起動時及びスイッチング部でそれぞれ抑制方法がございます。

【起動時のオーバーシュートの抑制方法】

①ソフトスタート回路の使用

ソフトスタート回路を使用すると、電源の立ち上がり時に出力電圧がゆっくりと上昇するため、オーバーシュートを防ぐことができます。一方で、立ち上がり時間が遅くなるなどの損失増加のデメリットがありますので注意が必要です。

 

②スルーレートコントロール

スルーレートコントロールを使用すると、出力電圧の立ち上がり速度を制御できます。これにより、オーバーシュートを防ぐことができます。専用のICを使用することで、より高精度で安定したスルーレート制御が可能になります。

 

ソフトスタート回路の有無によって、下記のように変化いたします。

 

【スイッチング部のオーバーシュート】

①ドライブ回路の抵抗値最適化

ドライブ回路のゲート抵抗値を最適化することで、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制できます。

 

②フィードバックループの最適化

フィードバックループの設計を最適化することで、出力電圧の安定性を向上させ、オーバーシュートを防ぐことができます。出力側で信号を検出し、入力側に信号を戻して制御をする際に、応答スピードを調整することで、出力電力の安定化を実現させます。

 

③スナバ回路の追加

スナバ回路を追加することで、FETなどのスイッチング素子のオン・オフ時に発生する高電圧スパイクを抑制し、素子の破損を防ぎます。

スナバ回路について解説はこちら>>>

 

各ポイント①~③の該当箇所は下記の通りです。

 

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産業用カスタム電源 開発・設計 Naviを運営するアイガ電子工業では、カスタム電源の設計・開発を行っています。

今回はオーバーシュートを抑制するポイントをご紹介いたしましたが、当社では、これらのカスタム特有のトラブルを考慮した上で、安全性・信頼性を担保した高圧電源の開発・設計を行うことが可能です。実際にこれまで、電力・水道・鉄道などのインフラ設備から建設機器・理化学機器をはじめとした産業機器まで、幅広く業界向けに、カスタム電源を開発実績がございます。

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