カスタム電源開発・設計 豆知識
2024.05.22
スイッチング電源における効率と力率の違い
スイッチング電源の性能・スペックを表現する指標としては、入力電圧範囲・出力仕様・効率・力率・チャンネル数・電源サイズ・適用規格をはじめ、様々なものが挙げられます。
これらの項目の中でも、”効率”と”力率”について「あれ、具体的に何が違うんだっけ…」と思ったことはございませんか。実は、この”効率”と”力率”は全く異なる数値を指しているのです。そこで、当記事では、意外と混同されがちである”効率”と”力率”についてご紹介します。
スイッチング電源における”効率”とは?
効率とは、簡単にまとめると、入力された直流電力をいかに少ない損失で出力することができるかを示す指標です。つまり、入出力の変換効率を指すのです。具体例を挙げながら説明してみましょう。下記をご参考ください。
【入力】
入力電圧:100V、入力電流:0.125A
→入力電力:100V×0.125A=12.5W
【出力】
出力電圧:5V、出力電流:2A
→出力電力:5V×2A=10W
このようなケースでは、12.5W→10Wに入出力で変換されているため、効率は80%となります。上記は非常に簡単な例となりますが、基本的な効率の計算はこのように行われます。ちなみに、下記記事にて、この効率を最適化するための電源設計のポイントを解説していますので、気になった方は是非ご覧ください。
スイッチング電源における”力率”とは?
力率とは、入力された交流電力を、いかに無駄なく使用しているかを表す指標です。
具体的に説明すると、交流電源では、電圧や電流が周期的に変動します。そのため、電圧と電流の位相がずれるケースがあります。この位相のずれにより、全ての電力が有効でなくなり、無効電力が出現します。(具体的な数値例:有効電力[W] ÷ 皮相電力[VA] = 力率)
”力率”改善を実現するPFC回路(力率改善回路)
ではこの力率を改善するための具体的な対策としてはどのようなものがあるのでしょうか。その代表例としては、PFC回路(力率改善回路)が挙げられます。PFC回路(力率改善回路)とは、アクティブフィルターにより電流と電圧の位相を合わせ、力率を1.0 に近づけるための回路を指します。
スイッチング電源では、基本的にこのPFC回路が採用されていますが、ある特定の用途ではPFC回路が用いられていないケースもあります。例えば、高調波対策が必要である海外向けの電源や、50W以下と電力が低い電源、その他にもコストに制約がある電源などではPFC回路は用いられていないこともあります。
カスタム電源の開発・設計なら、産業用カスタム電源開発・設計Naviまで!
いかがでしょうか。今回はスイッチング電源における効率と力率の違いをご紹介しました。産業用カスタム電源開発・設計Naviを運営するアイガ電子工業では、カスタム電源の開発依頼を承っています。お客様のご要望であるコスト・サイズ・寿命・求められる特性(過電圧入力・出力過負荷など)などに沿った最適なカスタム電源を開発・設計いたします。電源開発のお悩みは当社までお気軽にご相談ください。
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