カスタム電源開発・設計 豆知識
2023.12.21
セミカスタム電源の活用により、コストダウン・開発期間短縮を実現
皆様は、セミカスタム電源について、詳しくご存じですか?セミカスタム電源とは、標準電源に対し、周辺回路等を追加するなどして、仕様や特性を変更した電源のことを指します。実は、このセミカスタム電源は、「標準電源では、求める機能を満たせない…」「カスタム電源ではコストが高くなりすぎる…」などといったケースで幅広く活用されています。当記事では、このセミカスタム電源を用いることによるメリットを詳しく解説します。
カスタム電源・セミカスタム電源・標準電源の比較
まず、セミカスタム電源をカスタム電源・標準電源と比較するとどのようになるのか確認してみましょう。下記参考図をご確認ください。
端的に表現すると、セミカスタム電源はフルカスタム電源の利点である柔軟に形状・電気的特性を変更できるといった点と、標準電源の安価であるという点を兼ね備えた電源であるということです。
セミカスタム電源活用のメリット
メリット①:開発期間の短縮
上述の通り、セミカスタム電源では、標準電源に回路を付加することで、仕様を満足する方法を模索します。標準電源が基となっているため、開発期間、並びに部品調達・製造期間・評価期間も大きく短縮することが可能です。そのため、「開発を急いでいる…」という場合には、選択肢としてセミカスタム電源の活用を検討することも重要です。
ちなみに、当社が電源開発を行った事例の中には、カスタム電源では開発期間が10ヶ月かかると想定されていた電源を、納期の関係からセミカスタム電源に変更し、開発期間を5ヶ月短縮したケースもあります。
カスタム設計電源:10か月 (仕様確認1ヶ月、設計3ヶ月、部品調達3ヶ月、組立1ヶ月、評価2ヶ月)
標準電源モジュール:5か月 (仕様確認1ヶ月、設計1ヶ月、部品調達1.5ヶ月、組立0.5ヶ月、評価1ヶ月)
メリット②:開発コスト・電源単価の削減
当然のことながら、セミカスタム電源では、標準電源を活用するため開発期間・工数が短くなり、開発コストを低減できます。さらに、開発コストのみならず、量産時の電源単価も標準品を用いているため、フルカスタム電源と比較すると、非常に安価となります。
まとめ
いかがでしょうか。セミカスタム電源のメリットはお分かりいただけましたでしょうか。産業用カスタム電源開発・設計Naviを運営するアイガ電子工業では、セミカスタム電源の開発依頼も承っています。開発する上で重要なポイントは、本当にそのスペックが必要なのかを検討したうえで、カスタム電源、セミカスタム電源、標準電源、の何が最適であるか検討することです。当社にご相談いただければ、コスト・サイズ・寿命・求められる特性(過電圧入力・出力過負荷など)を確認した上でお客様に最適なご提案を行うことが可能です。電源開発のお悩みは当社までお気軽にご相談ください。
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