カスタム電源開発・設計 豆知識
2023.08.30
スイッチング電源が、現場でとたんに動かなくなる、たった一つの理由
これまでは産業用カスタム電源 開発・設計Naviでは、どうやってスイッチング電源を開発れば、高効率化やノイズの低減が実現できるか、そのためのどんな部品を選定すれば良いかなどの情報をお伝えして参りましたが、今回は少し違った観点からの情報をお伝えしたいと思います。
過去50年以上にも渡ってカスタムのスイッチング電源を納入してきた当社には、当然ながら様々な声が寄せられるのですが、いつの時代になっても変わらずご連絡を頂くのが、
「電源が動かなくなった」
というものです。
当社において設計・製造でしっかり作り込み、お客様にも確認して頂いたスイッチング電源でも、現場に設置する際に 『あるポイント』 を押さえておかないと、誤動作したり、破損してしまうのです。
なぜ現場でスイッチング電源が動かなくなるのか?
それは、良かれと思ってケーブルを束ねてしまうことに起因しています。
入出力のケーブル・信号線をスイッチング中に束ねると、せっかくフィルタなどでノイズを除去していたとしても、入力側のノイズが出力側に乗り、負荷側が誤動作してしまうのです。
回路図で示すと、こんな感じです。
よく考えると単純な話ではありますが、ケーブルは束ねてまとめればスッキリしますので、ついつい束ねてしまうのです。
当社が電源装置として開発・設計する際には、例えば下から入力したら上から出力するなどの対策は行っていますが、この「入出力は束ねないこと」が現場まで周知されていないと、入出力を結束バンドなどで束ねてしまい、動作したとたんに動かなくなってしまう、という事故が起こってしまうのです。
例えば、市販のカタログ電源にはラインフィルタが入っていないこともあるので注意が必要です。例え、購入後にお客様にてラインフィルタを入れても、入出力を束ねると、上述の通り、予期せぬ事故が発生する恐れがあります。
当社が手掛ける産業用のカスタム電源は、中には人命に関わるような設備に使われることもあります。そんな場所での誤動作や事故を少しでも減らすべく、こうした情報発信を継続していきたいと思います。
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