カスタム電源開発・設計 豆知識
2026.08.19
大容量電源における効率の考え方

大きな電力が求められる電源において、
「効率がなかなか上がらず、装置が大型化・高コストになってしまう…」
このような課題はございませんか?
最近、弊社では、数100W以上の大容量電源に関するご相談が増えてきています。これは産業機械・装置などが高機能化するにつれ、扱う電圧が高くなり、消費電力も大きくなっているためです。
こうした大容量電源のニーズが高まる一方で、上述の課題から思うように設計が進まないケースは少なくありません。そこで今回は、ポイントとなる「効率の考え方」について、対策とともにお伝えいたします。
大容量電源における効率の考え方
効率の考え方で重要なのは、「数%の効率改善が大きな差を生む」ことです。
例えば1kWの電源を考えると、効率が90%の場合は損失が100W、効率95%へ改善した場合、損失は50Wとなります。つまり、効率を5%改善するだけで、100Wから50Wと損失を50%削減できます。損失が減ることは、発熱の抑制だけでなく、熱を逃がすためのヒートシンクやファンを小さくでき、装置の小型化を実現できます。さらに、損失として無駄になっていた電力が減るため、消費電力が下がり、電気代などのランニングコストの削減にもつながります。24時間稼働するような設備では、特にこのわずかな効率の差が、長期的に見ると大きな差になります。
では、効率改善を実現するにはどうすれば良いのでしょうか? 大容量電源における効率改善の対策は3つあります。
1つ目は低損失(効率が良い)の回路方式の選定です。例えば、下記のアクティブクランプフォワード方式のような低損失の方式を採用することで、効率を高めることができます。

図1. アクティブクランプフォワード方式
2つ目は、より定格電流の大きいスイッチング素子の選定です。スイッチング素子には、電流を流したときの内部抵抗(オン抵抗R)があり、ここでの損失は I²R で決まります。電源内部の配線抵抗や素子の抵抗で生じる損失は、電流の2乗(I²R)に比例して増えるため、大電流になるほど損失の割合が相対的に大きくなり、効率が下がっていきます。定格電流の大きい素子は、一般的にRが小さいため、同じ電流を流しても損失を減らすことができます。
3つ目は、スイッチングスピードの最適化です。スイッチング素子は、オン・オフ切り替え時にスイッチング損失が生じます。この切り替えを速くするほど、1回あたりのスイッチング損失は小さくなり、効率の向上につながります。また、スイッチング周波数を高められれば、トランスやコイルを小さくできるため、電源の小型化も実現できます。
ただし、ここで注意して頂きたいのが、2つ目の対策で挙げた定格電流の大きい素子は、スイッチングスピードが下がりやすいという性質がある点です。つまり、導通損失を減らすオン抵抗Rの低さと、スイッチング損失を減らすスイッチングスピードの速さは、トレードオフの関係にあります。
したがって、どちらか一方だけを追求しても、全体の効率は最適になりません。実際の電源では、扱う電流の大きさやスイッチング周波数といった条件に応じて、オン抵抗とスイッチングスピードのバランスが最も良くなるよう、素子の選定と回路設計を最適化することが重要になります。
>>スイッチング電源における効率についてはこちら
当社の事例を一部ご紹介
これまでに当社が手がけた大容量電源の実績を一部ご紹介いたします。
事例①:超薄型直流安定化電源

本事例はPLC用電源装置に使われ、お客様より薄型のご要望がありました。そこで、電源装置を構成するトランス・コイルは低背型設計を実施し、半導体などの実装を工夫したり、部品の逃げのため放熱板を切り欠くなどにより、薄型を実現しました。隣接する電源や筐体間の絶縁性向上のため、半田付け面に絶縁シートを実装することにより、絶縁を確保しております。
事例②:コントローラ装置用直流安定化電源

本事例では、同一形状、同一入力電圧範囲、同一出力電力の条件で、出力電圧を24V及び48Vの2種類の電源装置が必要とのご要望をいただきました。そこで、出力24V/5Aの出力回路を2回路実装し、内部配線変更で並列運転/直列運転と切り替えることにより、24V/10Aまたは48V/5A出力を実現しました。さらに、回路は共用化することが可能となり、開発時間の短縮並びにイニシャルコストを低減しています。
大容量電源はアイガ電子工業にお任せください!
当社では、放電対策と発熱対策の両面から、お客様の仕様に最適な回路方式・部品選定・放熱設計をトータルでご提案します。標準品では対応が難しい大容量電源の要求にも、カスタム設計だからこそ応えられる強みがあります。「他メーカーでは断られてしまった…」といった場合でも、まずはお気軽にご相談ください。
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