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カスタム電源開発・設計 豆知識

2026.04.19

高圧電源の「ダイオード・コンデンサ」の選定ポイント

高圧電源の部品選定に関して、

「選定した部品の耐圧不足で、試作機が絶縁破壊を起こしてしまった…」

「稼働中に部品が異常発熱し、熱暴走による故障が発生してしまった…」

などのお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

以前、「高圧電源の基板で発生するトラブルを未然に防ぐためのポイント」として、はんだ付けやポッティング、フラックス残渣といった、設計・実装工程において押さえておくべきポイントをご紹介しました。

しかし、長期間安定して稼働する信頼性の高い高圧電源を製造するためには、上記の対策に加えて、コンデンサやダイオードなどの「部品選定」も当然ながら重要です。

そこで今回は、どのような観点で、コンデンサやダイオードなどの部品を選定すればよいのか、具体的な計算例を用いながらご紹介します。

>>高圧電源の基板で発生するトラブルを未然に防ぐためのポイントはこちら

 

高圧電源におけるダイオード・コンデンサの選定ポイント

高圧電源の昇圧回路では、主に「コッククロフト・ウォルトン回路」が用いられます。

この回路は、ダイオードとコンデンサをはしご状に多段接続するシンプルな構成が特徴です。トランスの2次側から出力された交流電圧を利用し、コンデンサの充放電とダイオードのスイッチングを繰り返すことで、入力電圧を段数倍に昇圧した直流電圧を出力します。

つまり、コッククロフト・ウォルトン回路を構成する主要部品である「コンデンサ」と「ダイオード」の品質や特性が、高圧電源全体の昇圧効率や信頼性を直接的に左右することになります。ここでは、それぞれの部品をどのように選ぶべきか、代表的なポイントを解説します。

>>コッククロフトウォルトン回路はこちら

 

ポイント①:コンデンサは、漏れ電流が少ない、沿面距離が取れるリードタイプを使用する

高圧回路では、高耐圧のセラミックコンデンサが頻繁に使用されますが、ここで注意すべきなのが漏れ電流です。高電圧環境下では、わずかな漏れ電流であっても大きな電力損失に直結し、コンデンサの寿命を縮めるため、可能な限り漏れ電流が少ない部品を選定することが重要です。
さらに、高電圧を扱う基板では沿面距離の確保が極めて重要です。表面実装部品は端子間の距離が短く、高電圧用途では絶縁破壊のリスクが高まります。そのため、端子間距離を離すことができるリードタイプを選定することが、トラブルを未然に防ぐために有効です。

 

ポイント②:ダイオードは、高耐圧(Vr)・低漏れ電流(IR)かつ逆回復時間(trr)が短いものを使用する

ダイオードの選定においても、コンデンサと同様に漏れ電流(IR)が少ない部品が求められます。漏れ電流が大きいと、コンデンサに充電されたエネルギーが逃げてしまい昇圧効率が低下するだけでなく、ダイオード自身の発熱を招きます。
さらに、回路のスイッチング周波数に応じた選定も重要です。商用周波数であれば一般的な高耐圧ダイオードで十分機能します。ただし、装置の小型化などを目的として数十kHz以上の高周波で駆動させる場合、「逆回復時間(trr)」を考慮する必要があります。高周波回路でtrrが長い部品を使うと、逆回復電流による大きなスイッチング損失や発熱が発生するため、この場合は高周波に対応できる「高耐圧ファストリカバリーダイオード(FRD)」を選定する必要があります。

 

コンデンサ・ダイオードの部品選定例

では高圧電源では、実際にどのようにコンデンサ・ダイオードを選定するのでしょうか。

今回は、6段で出力3000Vの高圧電源を例にご紹介いたします。

6段で出力3000Vの高圧電源の場合

この構成において、各段のコンデンサやダイオードの両端には500V(1段当たり500V)の電圧が印加されます。しかし、突発的なサージ電圧や経年劣化を考慮する必要があるため、定格耐圧が500Vの部品を使用することはありません。

当社では、産業用電源に求められる高い信頼性を担保するため、実際に印加される電圧を部品の定格耐圧の60%〜70%程度に抑えるという設計基準を設けています。したがって、必要な耐圧は下記の通りです。

500V ÷ 0.6 ≒ 833.333・・・ 

※印加電圧÷ ディレーティング率(60%)

上記より、最低でも約833V以上の定格耐圧が必要です。実際に使用する部品は、市場に流通している規格に合わせ、算出した833Vをクリアする定格耐圧900V以上の部品を選定します。

この耐圧条件をクリアした上で、前述の「リードタイプの高耐圧セラミックコンデンサ」や「ファストリカバリーダイオード」を選定します。

 

高圧電源の開発事例のご紹介

下記にて、当社の高圧電源の開発事例を一部ご紹介いたします。

事例:画像診断装置用直流電源装置

こちらは画像診断装置用直流電源装置の事例です。出力電圧が+3kVと高電圧でありますが、ご指定の筐体サイズが小さいこともあり、高圧発生部を絶縁材で充填することにより小型化を実現しています。また、設計時には、電圧急変時に発生するリンギングを皆無とするよう、電圧制御へ工夫を施しています。

>>詳細はこちら

 

高圧電源は設計段階から相談ができるメーカーへご依頼ください

今回は、トラブルを防ぐための高圧電源の部品選定のポイントをご紹介しました。今回は、機能面で部品選定のポイントをご紹介しましたが、部品選定の際には、この他にも、コスト・納期面や実際の使用環境も考慮する必要があります。計算上だけでなく、実環境や調達の状況までを見据えた設計・開発が求められます。

「試作段階での絶縁破壊や発熱トラブルが解決できない…」

「量産後のトラブルを防ぐため、設計や部品選定の段階から任せたい…」

このようなお悩みがございましたら、ぜひ当社にご相談ください。お客様のご要望に応じた最適な、高信頼性の高圧電源をご提案・開発いたします。

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