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カスタム電源開発・設計 豆知識

2026.03.13

高圧電源の基板で発生するトラブルを未然に防ぐためのポイント

医療機器や半導体製造装置、各種検査装置など、産業用機器の高性能化・小型化が進む中、「高圧電源」への要求も厳しくなっています。

「装置の小型化に合わせて高圧電源もコンパクトにしたいが、放電リスクが不安…」

「試作段階でトラブルが起きてしまい、開発スケジュールに遅れが出ている…」

「回路図上は問題ないはずなのに、実機に組み込むと放電やノイズが発生してしまう…」

などのお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

実はこれらのトラブルの多くは低圧電源では問題にならないような、ちょっとした違いが原因となっていることがあります。例えば、ほんの0.5mmのはんだの尖り、わずかな洗浄残り、ポッティング樹脂に混入した微細なボイドなどの細かな要素が、高電圧下では絶縁破壊や放電というトラブルに直結します。

そこで今回は、高圧電源の基板で発生するトラブルを未然に防ぐためのポイントについて解説します。

 

高圧電源の基板で発生するトラブルを未然に防ぐためのポイント

高圧電源を安全かつ安定して動作させるためには、放電をいかに防ぐかが重要です。ここでは、押さえておくべきポイントについて解説します。

ポイント①:平面・空間において十分な「沿面距離」を確保する

高圧電源の基板設計において重要なのが、パターン間や部品間の距離を十分に確保することです。高電圧がかかる電極間の距離が短いと、基板の表面に電気が流れる「沿面放電」が発生してしまいます。そのため、1kV当たり1mm以上の沿面距離を確保することがひとつの目安となります。これは、平面上の距離だけでなく、基板を貫通するスルーホールやコンデンサのリード線などが筐体や他の部品に近づきすぎていないかなど、上下方向の「空間距離」も十分に確保する必要があります。

※沿面距離:導電物間の距離

 

ポイント②:はんだ付けの先端の尖りを無くし、「丸く」仕上げる

一般的にはんだづけは、部品のリード部へ先端を尖らせるようにはんだ付けを行いますが、高圧電源の場合はトラブルの原因となります。電界は尖った部分に集中する性質があるため、はんだの先端がほんのわずかでも尖っていると、そこに電界が著しく集中して、コロナ放電を引き起こしてしまいます。低圧電源の場合は、元々電圧が低いため、ほとんど影響はありませんが、高圧電源の場合は、局所的に電気エネルギーが溜まりやすいため、特に影響を受けやすくなります。

上記対策として、高圧電源の実装工程では、リードの先端を包み込むようにしてはんだを完全な球状に仕上げることが必要です。これを考慮した実装ができるメーカーに依頼する必要があります。

 

ポイント③:放電対策用の樹脂を使用したポッティングを行う

物理的な距離を確保し、はんだの形状を工夫したとしても、空気中の湿気やわずかなホコリが原因となって放電リスクが高まるため、ポッティングが不可欠になります。ポッティング材にはシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などが使われますが、単に樹脂で埋めれば良いわけではなく、メーカーのデータシートにある「絶縁破壊強さ(kV/mm)」を確認して使用電圧に十分耐えうる樹脂を選定した上で、ポッティングを行う必要があります。

※ポッティング:電子部品やプリント基板を専用樹脂で覆う加工

 

ポイント④:フラックス残渣による絶縁低下を防ぐ

製造工程の最後に見落とされがちですが、高圧電源の品質を大きく左右するのが、はんだ付けに使用したフラックスの洗浄です。一般的に低残渣フラックスやIPAによる簡易洗浄で済ませることが多いですが、高圧電源でこれを採用すると、基板上に残った目に見えないレベルのフラックス成分が湿気を吸ったりイオン性不純物として導電経路を作り出し、トラッキング現象・沿面放電を誘発してしまいます。そのため、高圧電源を安全に動作させるためには、ポッティング前にシンナー等の専用洗浄液を用いてフラックスを落とす工程が必要となります。

 

ここまで、ポイント①~④をご紹介いたしましたが、ポイント②~④については、製造側で考慮すべきでは?と感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、高圧電源の場合は、設計担当者が製造・実装上のポイントを理解し、あらかじめ設計に落とし込み、明確な指示を出さなければ、トラブルの原因となる可能性があります。

例えば、

「部品が密集しており、はんだ付け時に丸く仕上げようとして、隣接する部品と接触してショートしてしまう」

「ポッティング樹脂の硬化時に樹脂の収縮応力で基板が破損する」

「シンナー洗浄に不向きな部品を使用して故障を引き起こす」

といったことが発生します。したがって、特に高圧電源においては、ポイント②~④のような製造上注意すべき点も考慮しながら、設計を行うことが必要です。

 

高圧電源は設計段階から相談ができるメーカーへご依頼ください

低圧電源であれば、設計した図面を製造部門や外部工場に丸投げしても問題なく動くことがほとんどです。しかし1kV〜数10kVを扱う高圧電源では、上述の通り、基板上の数mmの距離、ほんの0.5mmのはんだの尖り、目に見えないレベルの洗浄残しなどの細かな要素が放電や絶縁破壊を引き起こします。こうしたポイントを押さえた電源メーカーであれば、設計時の故障リスクをふまえた上での提案が可能です。

当社は、単に「依頼された仕様通りに作る」だけではなく、長年にわたり産業用電源を設計・製造してきた実績とノウハウを活かし、お客様の装置の仕様や環境に最適な高圧電源をご提案が可能です。企画・設計段階から試作、量産に至るまで、万全のサポート体制でお客様のモノづくりを力強くバックアップいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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