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カスタム電源開発・設計 豆知識

2023.07.01

スイッチングノイズ対策の基本

電源におけるスイッチングノイズは、多かれ少なかれ、必ず発生するものです。基本的にはスイッチング周波数が高ければ高いほどノイズが出やすく、低いほどノイズは小さくなる傾向にあります。ただし、スイッチング電源としての機能を満たすためには、電源効率など保った上で、伝導ノイズの規格(VCCIクラスA、IEC62236-3-2)内に収めるよう設計することが求められます。

スイッチングノイズを低減する方法には様々な方法が存在しますが、ここではノイズが問題になる前にあらかじめ押さえておいて頂きたい対策をご紹介致します。

 

1.ゲート抵抗の抵抗値を最適化する

スイッチングノイズを低減させるためには、オーバーシュート・アンダーシュートを小さくすることが効果的です。ゲート抵抗を最適化することにより、オーバーシュート・アンダーシュートを抑えられます。ただし抵抗値が大きければオーバーシュート・アンダーシュートへの効果も大きくなりますが、その分、損失が大きくなります。

 

2.ゲート抵抗の位置を、FETの直近に配置する

ゲート抵抗は抵抗値だけを最適化すればいいだけでなく、MOSFETの直近に配置する必要があります。なぜなら、パターンのL成分がノイズとして乗ってしまい、異常発振する場合があるからです。

3. フェライトビーズを入れる

MOSFETおよび整流ダイオードなどのスイッチング素子のリードに挿入することで対応が可能です。ノイズ除去が必要な周波数に対応したフェライトビーズを選定します。

 

4. 入力フィルタ(ラインフィルタ)を調整する

ゲート抵抗はスイッチング電源自らが発生するノイズをいかに抑えるかが目的ですが、これとは別に、発生したノイズを抑え、防ぐという対策も必要です。入力フィルタ(ラインフィルタ)は、入力側から入ってくるノイズを防ぐことと、電源内部で発生したノイズを外に出さないことを目的とした対策部品です。こちらもスイッチングノイズ対策を行う上で採用・調整することが求められます。どの周波数帯域でノイズが出ているかを把握した上で、フィルタのL・Cの値を調整しノイズを減衰させる必要があります。

 

5. シールドを設置する

スイッチングノイズ対策を行っても、どうしても規格値に入らないといった場合にはシールドを設置することも検討します。シールドにより磁界を遮断することができるので放射ノイズを抑えることができます。なおシールドはトランス・スイッチング素子の周辺に入れるのが一般的です。

 

ここまで、上記はスイッチング電源回路における外付け部品による対策をご紹介しました。いずれも簡単にでき、かつ試作基板が完成した後でもできる対策が殆どですので、スイッチングノイズにお困りの際はぜひ試してみて頂ければと思います。

なお、もちろん電源基板内の配線もケアする必要があります。例えば、制御ラインにスイッチングノイズが乗って誤動作が起きないよう、制御ラインとパワーラインをしっかり分けるといった対策や、そもそもノイズが起きにくいパターン設計を行うなどです。

産業用カスタム電源 開発・設計Naviを運営するアイガ電子工業では、基板設計におけるスイッチングノイズについては別途ご紹介して参る予定ですので、ぜひともご期待ください。

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